本店移転

ようこそ新津孝之司法書士へ。

 

本日も姉妹サイトに掲載した記事のご紹介です。

 

今回は本店移転についての記事です。

 

本店移転とは言ってしまえば、会社の本社の引っ越しです。

 

本店移転は引っ越し先がどこかによって、手続に大きな差が出てきます。

引っ越し先が別の登記所の管轄する地域か否かです。

今回紹介する記事はいわゆる管轄外本店移転の登記手続についての説明です。

登記所の管轄というのは、個々の登記所によって異なります。東京都台東区と東京都千代田区とでは管轄する登記所が異なりますが、東京都墨田区と東京都江東区はおなじ登記所です。

東京都台東区にあった本社を東京都千代田区へ引っ越しする場合は管轄外本店移転です。

東京都台東区内での引っ越しであれば管轄内本店移転です。

東京都墨田区から東京都江東区へ引っ越しする場合は管轄外本店移転です。

 

本店移転についてビミョーな本店所在地の記載があります。ビル名や部屋番号なども記載している場合です。

例として本店所在地を「東京都台東区台東一丁目1番1号 台東ビル401号」と登記している会社が同じ台東ビルの301に引っ越しした場合は、「東京都台東区台東一丁目1番1号 台東ビル301号」とする本店移転登記が必要です。

ところが、本店所在地を「東京都台東区台東一丁目1番1号」と登記している場合であれば、本店移転の登記は必要ありません。このように部屋番号を登記しないことも可能です。

おおきなオフィスビルであればビル内での引っ越しということも十分に考えられることです。開業当初は同じビル内でも狭い部屋を本社として、事業が軌道に乗ってきたら広い部屋へ引っ越すことを念頭に置いている会社もあるでしょう。

だったら、最初からビル名は登記しないという選択肢もあるでしょう。しかし、部屋番号が登記されていないと登記記録だけを見ている人からの郵便物が届かないことも考えられます。なので、設立当初から部屋番号も登記することをオススメします。

 

これは管轄内本店移転のことですが、問題となるのは管轄外本店移転です。これは2通の申請書を提出するのですが、それぞれの申請書の記載事項は時代時代によってだいぶ異なっていました。これらの違いやその理由などを紹介しています。

 

その中で問題としたのが、本店移転と同時他の登記も一緒に申請できるか否かです。

本店移転は会社になにか大きな出来事があって行うことが多いので、本店移転と同時に商号や事業目的や役員の変更がなされることがあります。

本店移転とこれら他の登記を同時に行うことができるか否かについて詳しく紹介しています。

結論からいうと大昔はできたのだが、平成になってからはできなくなったのですが、つい最近からは再び可能となった、ということです。

これは一般的には登記記録が紙媒体から電磁的記録へと変わり、これらがネットワーク化ししたことが理由とされていますが、当事務所は登記所での処理の仕方が変わっただけ、いってしまえば登記所がやろうと思えばできたことをしてこなかっただけなので、できる→できなくなった→再度できるようになった、という複雑なことになったという結論にしてあります。どちらの理由を採用しても「本店移転と同時他の登記も一緒に申請できるか否か」についての答えは変わらないので、あまり深く考えなくてもいいのですが・・・。

 

さて、この「本店移転と同時他の登記も一緒に申請できるか否か」について、一般的には可能となっていますが、一緒に申請できないこともあるのではないか?

この問題についての言及もあります。

 

管轄外本店移転の効力発生から登記申請までの間に生じた変更事項を一緒に申請できないのだろうか、ということです。

具体的にいうと・・・。

10月1日に本店移転効力発生しましました。翌日は休日なので登記申請は10月3日を予定していたところ、10月2日に取締役が急死してしまったような場合です。

本店移転の申請書に取締役の変更も記載できるか否か?

 

私はこの場合も一緒に申請できると論証しました。

この問題について詳細に論述している書籍等はありません。おそらく当事務所のホームページが唯一でしょう。最近出版された「Q&A商業登記と会社法(新日本法規出版)」ではこの点について肯定していますが、詳細な言及はありません。

 

もっとも、一緒に申請する変更事項は本店移転の効力発生と同じタイミングで効力発生するようにすることが通例ですから、これはかなりレアなケースでしょう。

仮に一緒の申請を否定して別々に申請するものとしても、登録免許税は別区分なので安くはなりません。登記期間の問題はさておき、登記完了が少し遅れる程度しか不都合はないでしょう。

 

なので、現実的にはほとんど問題になりません。あくまでも登記申請や登記記録の記載の在り方についての頭の体操程度です。

 

しかし、こういったことを常に考え続けることこそが登記申請代理人の責務と考え、ホームページに掲載しました。

お時間に余裕のあるときにお考え下されば幸いです。

 

詳しくはこちら

 

それでは。

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