株主総会議事録への押印

ようこそ新津孝之司法書士へ。

 

本日も姉妹サイトに掲載した記事のご紹介です。

 

今回は株主総会議事録についての記事です。

 

令和3年1月29日法務省民商第10号通達(当サイトでは「印鑑不要通達」と称しています。)の発出以降、押印が必要な書類、不要な書類について少なからずの混乱がありました。

 

商業登記の申請でもっとも多く添付される書類の1つに「株主総会議事録」があります。

果たして株主総会議事録は押印が必要なのでしょうか。

 

結論から言えば、商業登記の添付書類としての株主総会議事録は原則として押印不要です。

これは印鑑不要通達以前から押印不要です。

会社法は出席取締役、議長、議事録作成者は記載しなければならないが、これらの者が押印しなければならない、という規定はありません。これが根拠です。

 

ただし、押印しなくてもいいというだけで押印してはならない、ということではありません。作成過程のドラフト版と区別するためにも完成版には押印することもあるでしょう。

また偽造・変造を防ぐためにも押印しといた方がいいでしょう。

 

先日、とある会社の定款を拝見したところ「株主総会議事録には議長および出席取締役が記名押印しなければならない」と規定されていました。

会社法は押印しなくてもいいとしているのに、敢えて会社内部の規律として押印を義務付けているものと察します。

会社法以前の商法では議長および出席取締役に押印を義務付けていました。商法の規定をそのまま定款に定めている会社もあることと思われます。商法時代の定款にはこのような定めがあったのですが、会社法施行時にこのような定めを廃止した会社もあると聞いています。会社内部の規律なので最終的には会社の考え方次第ですが、このような規定を残したままでは、定款を添付しない申請であればともかく、押印していない株主総会議事録や議長のみが押印した株主総会議事録(このパターンは多いでしょう)を添付した商業登記申請が受理されるのかは分かりません。少なくとも定款違反とはなるでしょう。

 

旧商法時代に設立され、その定款に「株主総会議事録には議長および出席取締役が記名押印しなければならない」と規定している会社は同規定を廃止する旨の定款変更を検討すべしという見解もあります。

 

結局は会社内部の規律なので、「会社法施行後も当社の株主総会議事録は押印する」というのであれば、それはそれでいいでしょう。漫然と旧商法時代の規律を引き継いでいるようであれば、定款変更を検討してもいいでしょう。押印する旨の定款の規定を削除しても、完成版であることを示すためや偽造変造防止のために押印するという内部ルールを樹立することは差し支えありません。

 

ところで、株主総会議事録は押印不要か?ということで論じるものは多く見受けられますが、これとは逆に「押印しなければならない場面はどういったものか?」ということの記事を姉妹サイトにあげています。

 

これは登記申請の添付書類とするためには押印しなければならないと、法令等に根拠があるものです。印鑑不要通達は、通達や先例で押印を求めていたものについては押印不要としているだけで、法令が押印を義務付けているものは依然として押印が義務づけられています。

 

考えられるものとしては2つあると思われます。

さて、それぞれどんな場面でしょうか?

もしかしたら他にもあるかもしれませんが、そのようなものがあれば是非お知らせ下さい。

 

詳しくはこちら

 

それでは。

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