支配人とは

ようこそ。新津孝之司法書士事務所へ!

久しぶりの投稿です。

本日も姉妹サイトに掲載した記事のご紹介です。

 

今回は支配人についての記事です。

 

支配人というと大きなデパート、ホテル、劇場などの最高責任者の肩書きに見られます。

 

法律上の支配人は「営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する商業使用人」とされます。

営業所限定の代表取締役といってもいいでしょう。

会社は支配人を選任することができます。

 

支配人は取締役などの役員ではなく、あくまでも会社の従業員です。一般的には従業員のことを社員とか正社員などといいますが、これは社会慣習上の呼称であり、法律上は使用人と呼ばれます。労働法では労働者と呼ばれます。要するにサラリーマンです。

社員というと、法人の構成員を指します。法人の所有者です。株式会社では株主です。

このあたりの理解を曖昧にしていると会社法の学習で混乱します。

会社法の本ではいきなり「社員」という言葉が登場したりしますが、社員=出資者=株主=会社の持主とサラリーマンである「正社員」を混同していると何もかも理解することができなくなります。

 

会社法の教科書ではこのあたりの理解は当たり前としているのか、詳細な記述はほとんどありません。資格試験用のテキストもこのあたりの説明はありません。

 

私は司法書士試験の勉強をしているときにこのあたりの理解に苦労しました。

会社法などの法律の用語と実際に使われる用語の違いは曖昧にしているといつまでたっても理解できません。

 

他にはこんなこともあります。民事訴訟の「被告」と刑事訴訟の「被告人」。

新聞やテレビなどではどちらも「被告」と呼んでいますが、実際は大きく違いがあります。

また、会社の経営者は「取締役」ですが、実際の会社では社長や専務や常務などと呼ばれています。法律上の役職は取締役ですが事実上は社長とか専務とか常務と名乗っているだけです。社長も専務も取締役または代表取締役として登記されています。

 

これはさておき。

 

支配人選任の登記申請については深く言及した書籍は多くありません。

上場している会社でも業種によっては必要性を感じないためか、支配人を選任していない会社もあるでしょう。

それ故に申請件数も多くなく、いろいろな論点があまり問題にならないのでしょう。

 

実際に支配人を選任する理由の多くは訴訟代理を行わせるためとの指摘もあります。

簡易裁判所以外では代表取締役が出廷するか弁護士に委任するしかないのですが、支配人であれば出廷することができます。大量の訴訟を抱えている貸金業者では支配人の需要があるでしょう。

これを悪用して、実体は何らの権限や能力もない者を訴訟に出廷させるためだけに支配人を選任していることがあるそうです。簡易裁判所では許可代理制度があるのであまり問題にはなりません。

 

支配人はあくまでも従業員であり、支配人の選任はいわば「辞令」です。「業務命令」です。就任について従業員にイエスノーはありません。

これ故に支配人選任に対して就任承諾という概念はありません。ということは印鑑証明書の添付は不要なのでしょうか。

 

支配人の選任は辞令や業務命令であり、従業員にイエスノーはないのですが、なぜか「辞任」することができます。本来は取締役会で「解任」するのですが、解任とは穏やかではない、ということで辞任ができるのでしょう。

 

ところで、支配人は代表取締役と同じように印鑑の届出ができます。

そうすると支配人の辞任届には届出印を押印しなければならないのでしょうか?確かに代表取締役の辞任届は届出印で押印する必要があります。条文は「代表取締役」とあり印鑑を届け出た支配人とは規定されていません。

 

このあたりについての考察を行っております。

お時間があるときにご覧ください。

 

くわしくはこちら。

 

それでは。

 

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